2022/1/12

「あげる」といわれても、だれも引き取ろうとしない赤く濁った沖縄の海  ]平和
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 ◆ 『海をあげる』 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 沖縄で新型コロナウイルスの大規模感染がつづいている。八日は千七百五十九人で三日連続の過去最高。
 米軍基地から漏れ出した疑いが強い。ようやく軍関係者の外出制限が実施された。いままで、入国禁止も検疫も免除されていた。
 「日米地位協定」の治外法権。米軍関係者の移動は禁じられず、「抑止力のため」と出入り自由。県も国も規制できない主権制限。軍事上の犠牲区域。

 上間陽子さんの『海をあげる』には沖縄の女性の日常が細やかに描かれている。完成する見込みのない米軍基地建設のために大量の土砂が投げごまれ、殺されていく辺野古の海は「あなたにあげる」と末尾に書きつけた挑発的なエッセー集だ。


 サンゴ礁が死に、美しい魚が逃げ出し、ジュゴンが帰ってこない。
 アメリカの言いなりに税金を投入、海を破壊している日本政府に安住しているわたしたちは「あげる」といわれても、だれも引き取ろうとしない。逃げ出すことしかできない。

 上間さんは沖縄で十代ママを応援するシェルターを運営している。風俗店ではたらく若い女性たちの聞き書きを前著『裸足(はだし)で逃げる』にまとめたあと、寄り添うような生活をはじめた。
 幼い自分の娘との会話と十代の母親たちとの対話。そして辺野古での座り込み。
 それらがごく自然な生活として手紙のような優しい文体で書かれている。

『東京新聞』(2022年1月11日【本音のコラム】)


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