2022/1/20

岸田文雄内閣が強調する「日米同盟強化」には、強い反発がある  ]平和
 ◆ 若者たちの死 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 ジャンポール・ベルモンドの死は昨年九月。八十八歳だった。どこか人を食ったような余裕を感じるのは最初にみた『勝手にしゃがれ』(ゴダール監督)のイメージからか。その後、一九六〇年代にみたゴダールなどいくつかの映画のシーンを思い出すようになった。
 六〇年の日米安保条約改定反対闘争で、毎日のように国会前に出かけていたひとりとして、岸田文雄内閣が強調する「日米同盟強化」には、強い反発がある。「軍事同盟強化」とは、戦争準備体制のことだからだ。

 『勝手にしやがれ』のラストは、警官に背中を撃たれたベルモンドがパリの小路をよろよろ半ば倒れそうに走り、やがて倒れる。道行くひとたちは怪訝(けげん)な表情で眺めているが視線は冷たい。現実社会の街角に、俳優の演技を加えて撮ったヌーベルバーグの手法である。


 息を引き取るときに、彼は「最低だ」といったのだが、女友だちはそれを理解できない。

 安保闘争後に、学生たちの心を捉えたもう一本は『灰とダイヤモンド』だった。ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督が時代の変化に遅れた青年を主人公にした。
 反ソ連のテロリストは、軍に追われゴミ山でのたうちまわって死ぬ。主人公を演じたチブルスキーはベルモンドのようには長生きせず、三十九歳で事故死した。敗戦後七十七年、この国は平和に飽きたのか。

『東京新聞』(2022年1月18日【本音のコラム】)


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