2022/5/22

国旗国歌起立斉唱命令は、自由制限の国際基準を満たしていないことを訴えた、UPR審査NGOレポート  X日の丸・君が代関連ニュース
 東京・教育の自由裁判をすすめる会の国際人権プロジェクトチームは今秋に予定されている国連人権理事会のUPR審査に提出するレポートを検討しまとめました。厳しい字数制限があって意を尽くせない感もありますが、これを英文に訳し、国際人権活動日本委員会を通じて提出します。

  =『リベルテ』から=
◎ UPRレポート:東京の公立学校における国旗国歌の強制問題(和文)

東京・教育の自由裁判をすすめる会 国際人権プロジェクトチーム

 A,事実関係と問題点

 [都教委による起立斉唱命令と処分]

 1.2003年以来、東京都教育委員会は卒業式などの行事において、国旗掲揚時に起立し国歌を斉唱することを教職員の職務と定めた「10・23通達」を発し続け、従わない教職員を罰している。その数は484人に達した


 思想良心の自由侵害に当たると訴えた裁判では、戒告より重い処分は取り消されたものの、処分そのものは人権侵害に当たらず合法とされている。

 [自らの信念と、子どもたちの人権を守る教員としての使命のために命令に服従できない教員]
 2.国旗国歌「日の丸・君が代」は、第二次大戦で日本の侵略戦争のシンボルだったので、侵略を受けたアジア諸国や国民の間で未だに抵抗感が強い。不適切なシンボルに敬意を表する行為は、教員個人の信念と歴史観、そして子どもたちに敬意を強制できないという教員としての教育観に関わる問題である。
 3.都教委は、教職員が例外なく起立斉唱することを通して生徒を起立させることを狙っている。全校の「式次第進行表」には「起立しない生徒がいたら、司会は起立を促す」との文言がある。都立学校にはシンボルに敬意を表したくない生徒もいるし、外国籍の子どもも在籍している。
 4.卒業式でクラスの大半の生徒が起立しないと、教員が指導力不足を理由に厳重注意処分を受け責任を問われる。その数は初年度だけで67人に及んだ。

 [不服従教員に対する不利益待遇]
 5.命令に抗した教職員は「再発防止研修」を課され、成果として思想改変を迫られる
 6.懲戒処分による直接の経済的不利益、不名誉の他、昇給・昇任の差別、担任から外されるなどの仕事上の差別、定年後の再雇用から排除される差別など、様々な差別を受ける。差別は、思想を捨てない限り続く

 [日常の教育活動への影響]
 7.このような上意下達の命令による画一的な教育統制は、卒業式の日だけにとどまらず、日常の教育活動全体に及び、都立高校の自由な校風は失われつつある。
 8.信条や教育観に関わる処分により、教員は萎縮し、創意工夫の意欲を失い、画一化序列化された価値観に縛られて、学問の自由や子どもの学習権が侵害される状態になっている。

 [大阪では条例という立法措置で起立斉唱を強制]
 9.大阪府は独自に、2011年に「君が代起立条例」、2012年に「職員基本条例」が制定し、立法措置により起立斉唱を強制し、従わない教員を排除する法的仕組みを作った。「君が代起立条例」はその目的に、教員全員を起立斉唱させることを通して生徒に愛国心を植え付けることを謳っている。「職員基本条例」は、同一職務命令に3回違反すると免職と定めている。


 B,意見=市民的自由を制限する際の国際的な審査基準が無視されている

 [最高裁の審査基準は「必要性・合理性」]
 10.最高裁は、教員の不服従の動機が、思想・良心・宗教の自由に関わるものであることは認めた。しかし、起立斉唱命令には、儀式の秩序維持と円滑な進行のための「必要性・合理性」があるから、人権を制約することが許されると判断した。最高裁の審査基準は「必要性・合理性」である。

 [国際標準の審査基準は「立法・目的・必要性」]
 11.国際人権法規の中に示されている人権制限に関する条項は、世界人権宣言第29条2項、自由権規約第18条3項、19条3項などであり、これらに共通する条件は「立法によること・正当な目的・必要不可欠性」である。

 [国際基準で判断されたCEART勧告]
 12.国旗国歌起立斉唱強制問題について、国際機関では、CEARTが2019年に勧告(CEART/13/2018/10)を発表している。その中で次のように、教員の市民的権利を承認し、日本政府に対しては起立斉唱を強制しない方法を探るよう、勧告している。
 「98. 教員には国旗掲揚儀式に同意せず、それに反対する意見を表明する権利がある。」
 「105. 従順を示す特定の表示行為に参加することに違和感を抱く教師をも受容するような解決策を模索するよう勧告する。」

 [自由権規約委員会では審査中]
 13.この問題について私たちは、自由権規約委員会第7回日本政府審査にNGOレポートを提出し、List of Issues para26に「10・23通達」の規約適合性が取り上げられた。コロナ禍のため延期されていた第136会期は、10月に開催される。


 C,求める勧告

 14.作業部会におかれては、この問題を第4回日本審査で取り上げ、日本政府に対し、国家シンボルに対する敬意の強制を控え、学校生活のあらゆる面で世界水準の自由を保障するよう適切な措置を執るよう勧告していただきたい。


 ※ UPR(universal-periodic-review 普遍的・定期的・審査)とは?
 国連加盟国(193 ヶ国)の人権状況を全ての加盟国で相互に審査する枠組み。ある国の報告書に対して全加盟国が議論に参加し、作業部会で勧告及び結論が採択されます。約4年半に1回まわってきます。日本は2008 年に第1回、2012 年に第2回、2017 年に第3回審査を受け、2022 年に第4回審査が行われます。当会は、第2回・第3回に続いて、第4回にもレポート提出します。これまで日本に対しては、死刑廃止・国内人権審査機関設置・少数民族差別解消などの問題について多くの国から指摘を受けています。
 (参考)外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken_r/upr_gai.html

『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース リベルテ 第66号』(2022年5月17日)


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