2008/12/31

学習指導要領改訂案にパブコメを  ]平和
 ■ 高校の学習指導要領改訂案から
  国家主義イデオロギーの記述を削るよう、文科省にパブコメを

永野厚男(教育ライター)

 文科省は2008年12月23日〜2009年1月21日(水)〆切で、高校の学習指導要領改訂案に関し、パブリックコメントを募集しています。文科省が執拗に盛った国家主義イデオロギーの記述を削るよう、同省にパブコメを寄せましょう(多くのマスコミは「英語の授業は英語で」という問題ばかり報じていますが・・・)。
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 文科省の指定する様式は、最初に「初等中等教育局教育課程課・教育課程企画室(御中)/件名:高校学習指導要領改訂案について」と書き、「氏名・性別」「住所・電話番号」、「年齢・職業」を明記した上で、意見を書く(意見が千字を超える場合、千字以内で要旨も書く)。/送付方法は次の3つがあります。
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◇ 電子メールの人は → メールアドレス:kyokyo@mext.go.jp
 ※ 「コンピュータウィルス対策のため、添付ファイルは不可」とのことです。
◇ FAXの人は → (03) 6734−3734
◇ 郵送の人は → 〒100−8959 千代田区霞ヶ関3−2−2、文科省教育課程課・教育課程企画室

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 パブコメの意見は、以下の囲みを参考にして頂ければ、幸いです(高校の指導要領改訂案全文は、文科省のHPに出ています)


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 文科省は、――2008年2月15日の小中学校の学習指導要領の改定案の時点ではなかったのに、日本会議等、特定の政治勢力(【参考記事】参照)と、高橋道和(みちやす)・教育課程課長ら役人らとがグルになって08年3月28日の告示時に勝手に加筆した、子どもたちに有害な国家主義イデオロギー――を、高校の学習指導要領では08年12月22日に公表した改訂案の時点で既に、以下の<1>〜<4>の通り、加筆してしまっています。

 以下の<1>〜<4>は、日本国憲法の保障する「思想・良心・表現の自由」や子どもの権利条約に違反する政治的な加筆です。文科省はこれらを削除し、自民党等が画策する戦地への自衛隊海外派兵に"素直"に応じるような政治的"人作り"に、加担しないようにして下さい。

<1> 学校の教育活動全体についての方針を示す「第1章 総則」の、「第1款の2教育課程編成の一般方針」で、「道徳教育の目標」に、改"正"教育基本法を受け、「我が国を愛し,《略》公共の精神を尊ぶ《略》日本人の育成」という文言を加筆してしまった。

<2> 高校は小中のような「道徳の時間」はないが、同「総則」の、第5款「教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項」で、「全教師が協力して道徳教育を展開するため,第1款の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,指導の方針や重点を明確にして,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について,その全体計画を作成すること」と、各教科・科目での「国を愛する態度」や「公共の精神」の教化を強制する文言を加筆してしまった。

<3> 「第3節 公民」で、「現代社会」の「内容」の「イ 現代の民主政治と政治参加の意義」と、「政治・経済」の「内容」の「民主政治の基本原理と日本国憲法」との2箇所で、「天皇の地位と役割」を突如加筆した。

<4> 「第3節 公民」で、同様に「現代社会」の「オ 国際社会の動向と日本の果たすべき役割」と、「政治・経済」の「イ 現代の国際政治」との2箇所で、「我が国の安全保障と防衛」の後に、「及び国際貢献」を突如加筆した。

 付記、指導要領の「特別活動」の入学式や卒業式の記述は「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導する」と現行指導要領と同じ記述ですが、都教委等は現行指導要領下で既に大変な"君が代"強制を強行しているし、*塩谷立・文科相(しおのや りゅう、59歳、自民・町村派)が08年11月18日、"君が代"時の起立強制強化を放言しています。従って、前記<1>〜<4>の削除と共に、――「特別活動」の"君が代"強制記述に反対です――等の意見も、文科省宛パブコメで寄せて頂ければ、幸いです。

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【参考記事】 (『週刊金曜日』08年6月6日号)
 小中の指導要領改定案公表当日の08年2月15日、衛藤晟一(えとうせいいち)・自民党参院議員が文科省を訪れ、同省の高橋道和課長に国家主義イデオロギーの記述を入れるよう直談判した。また、日本会議等の右翼は、以下の記事の通り、組織的なインチキ・パブコメ行動を行った。
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 ■ 新学習指導要領の国家主義強化、右翼の組織的パブコメ工作が発覚

 文科省が08年2月15日の小中学校の学習指導要領改定案公表時より国家主義色を一層強化する文言を、3月28日付告示の新指導要領に急遽加筆した"根拠"の一つとするパブリックコメントで、右翼側の組織的な工作が発覚した。
 同省は5679件に上るパブコメの全文の公表を、社民党議員が衆院文部科学委員会で求めても拒否していたが、議員側や市民の粘り強い要求に4月下旬、ようやく同省に据え置く形で"公開"。
 情報公開運動等に取り組んでいる市民延べ6人が4月末と5月中旬、同省7階で計6時間半、個人情報を削除した2万頁のパブコメ全文のコピーを、『広辞苑』ほどの厚さの21分冊にしたファイルで、閲覧した。
 以下、誤字・脱字はそのままに、20ほどの右翼側のパターンから、数例を紹介する。

■パターン1 件名:中学校学習指導要領案について、「意見」国旗国歌
 入学式や卒業式で、国旗掲揚、国歌斉唱は当然です。これに反対する公立の教師は処分すべきです。オリンピック・その他の行事競技時は国旗・国歌が世界中で認められ国民も喜んで認めてほしいのです。


◇ 分析と解説
 パターン1は、パソコン打ちの原版の「反対」「行事」「ほしい」の3語が各行末にあり、FAXやコピーの際に欠け、3語だけ手書きで加筆したり、他の文言に書き直したり、脱字のままだったりと、数バージョンが混在。「当然です」の後の句点(。)の脱落も多い。少なく見ても、1冊目から8冊目に100枚以上はある。このパターンには、学校の教育活動全体についての方針を示す「総則」への「国を愛する態度の加筆」や、「日本の建国の由来及び神話の学習の充実」を要求するバージョンもある。
 次に、「〔国旗、国歌への敬意〕国歌を斉唱できるように指導するとともに、国旗、国歌の由来の指導、儀礼を身につけさせることを入れて下さい。現行の学習指導要領でも国旗掲揚、国家斉唱を行うことが位置づけられているが、現実には入学式、卒業式では、起立斉唱を指導しなかったり、国旗、国歌を否定する偏向教育が行われています」とのオール手書き、同一筆跡のもの(改行も「国家斉唱」の誤字もすべて同じ)が、1冊目に5枚連続で綴じられている。
 市民側が驚き、「こんなインチキも1件ずつにカウントするのか」と質すと、教育課程企画室の川村匡(ただし)係長は「同文、同一筆跡であっても、差出人が違えば、カウントする制度です」と、平然と回答。

 他に「君が代を小さいうちから歌えるように、しっかり教えて」と書いた後、「オリンピックなどで君が代が歌えないような若者を恥ずかしいと思いませんか? 世界でそんな事が通ると思うのですか?」と、感情に訴えようとするパターンが、幼小中別に計200枚ほどあり、「到達目標を明確にし、学習したことが目標に達したか否か、チェックする規定を設けてほしい」とのパターンも多い。
 文科省はこれらを利用し、指導要領の「総則」への"目標達成"規定を急遽明記した上、小学校の音楽で、改定案の「国歌『君が代』は、いずれの学年においても指導すること」に、「歌えるよう」との到達目標を加筆したのだ。

■パターン2 件名:中学校学習指導要領案について、「意見」「国防」
 国際貢献のために海外に派遣されている自衛隊は、士気が高く、技術等優れており、とても評価されています。授業でも教えて欲しい。


◇ 分析と解説
 パターン2は、真ん中の「等」が「も」になったり、最後の方の「も」が抜けていたり、というバージョンも多く、手書きとパソコン文字が混在している。
 中学社会・公民分野の改定案は現行指導要領と同じ「我が国の安全と防衛の問題について考えさせる」との文言だったが、新指導要領は「国際貢献」を加筆した。今後、自衛隊に関する教科書検定で、政府見解に沿う記述の強制が、従来の"自衛力保持"から海外派兵にも拡大する恐れがある。

 琉球大の高嶋伸欣名誉教授は、「家永裁判第三次訴訟で最高裁は、『指導要領は法的拘束力があり、検定制度は合憲だが、(指導要領等)法規の運用は公正さ、一貫性、客観性がなければならない』という論理構成をし、文部省の検定意見の4件を『裁量権の逸脱。違法』と断じている。今回の指導要領の根幹問題での加筆は、公正さ等がなく、恣意的な権力行使・職権乱用だ」と、提訴されたら、文科省側は勝てないんじゃないか」と指摘している。


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