2010/12/29

「今の就活はおかしいぞ!」全国各地で大学生が同時デモ  ]U格差社会
 【たたかいの現場から】『労働情報 805号』
 ◇ 「今の就活はおかしいぞ!」全国各地で大学生が同時デモ

本間 篤
(神奈川大学経済学部4年/就活どうにかしろデモ@東京実行委員会)

 11月23日(勤労感謝の日)、大学生の就職活動の在り方に疑問を訴える「就活くたばれデモ」が全国4都市(札幌・東京・大阪・松山)で同時に行われた。名称は各地で異なり、それぞれ「就活くたばれデモ@札幌」「就活どうにかしろデモ@東京」「ここがヘンだよ就活パレードin関西」「シューカツしたくないよぉ〜☆パレード@松山」。このデモは、北海道大学の大瀧雅史さんが昨年の勤労感謝の日に同様のデモを行ったことをきっかけに全国に波及した。大瀧さんは、今年も北海道開催の指揮を執っている。

 ◆ 新卒至上主義の問題点
 「今の就活っておかしい!」その思いの根底には、新卒一括採用にこだわる日本の雇用慣行、「新卒至上主義」への疑問がある。新卒で就職できなければ、多くの人は低賃金の非正規労働者となり、その後正社員になることが困難になる。しかし、2010年10月時点での大卒内定率は、景気の悪化を受けて過去最低の57・6%である。大学を卒業する年の景気でその後40年の職業生活の大半が決まってしまうなんておかしい。そう多くの学生が思っている。


 新卒で就職できなければ大変なことになる−。その強迫観念から、必然的に就職活動は過熱する。学生は、まだ卒業まで1年以上ある3年生の秋頃から、100社落とされて当たり前の壮絶な競争の中に放り込まれ、大学には殆ど行けなくなる。そして、いくら受けても受からない。「終わりが見えない」のである。1年以上就職活動をするのは当たり前で、「長期化」も深刻だ。するとここに就職活動で稼ぐ「就活ビジネス」が生まれ、学生をさらに煽るという悪循環が生まれる。また、大学側も就職活動の時期に合わせて講座などを開き、講義やゼミの欠席も容認する。大学は就職予備校なのだろうか。
 就職活動自体も異様で、まるで自己啓発セミナーである。まだ卒業論文を書き始めてもいない学生に「社会人基礎力」を教え込み、「自己分析」をさせ、学生時代はまだ1年以上あるというのに「学生時代に打ち込んだこと」を絞り出す。また、選考の時期が複数企業で重なるため、同時並行で数社の面接を受けることになる。全ての会社に本当に入りたいわけではないのに、それぞれの会社で「御社が第一志望です」と言わざるをえない。結局、嘘吐き合戦だ。仕方なくマニュアル本に洗脳され、皆同じスーツを着て、面接で同じことを言う。デモにおいては「茶番」と表現した。こんな茶番で将来が決まってしまうのはおかしい。

 ◆ 全国で「就活くたばれデモ」
 「今の就活はおかしい」と考える学生が各地で集まり、4都市同時にデモを行った。東京では学生を中心に約50名が参加し、新宿駅東口→歌舞伎町→大久保公園のコースを「大学は就職予備校じゃないぞ」「卒論書くヒマないぞ」「既卒も採用しろ」などとシュプレヒコールを上げながらデモ行進した。
 参加者の上京した女性は、「明らかに“女性だから”という理由で選考に不利になった」「人事に“かわいい子から採る”と言われた」「求人倍率は男性のための数字だ」と懸命に訴えた。女性の内定率が悪いことを所与のものとして考えてはいけない。決して無視してはいけない問題である。
 また、実行委員の一人は、「ゆとりをナメるな」と繰り返した。いわゆる「ゆとり世代」である私たちは、「ゆとりだから能力がない」と言われることが非常に多いが、ゆとりと非ゆとりに構造的な差などなく、ただ便利な言葉だから差別的に使われているだけ、というのが彼の主張である。
 東京以外全国3都市(札幌・大阪・松山)のデモも、大いに盛り上がった。地方都市で同時開催されることで、就職活動の「地域格差問題」も議論になってほしい。多くの企業は本社が東京など大都市に集中しており、何回も繰り返される面接の度に、地方在住者は高い交通費を払って上京しなければならない

 ◆ 「甘え」と言わないで
 デモ終了後は、全国の新聞・テレビをはじめ様々なメディアに取り上げられた。有名な日曜のニュース番組の特集で取り上げられ、大物コメンテーターが「学生は被害者だ」という議論を展開するなど、予想以上の問題提起となった。
 議論が盛り上がれば、批判も増える。「新卒至上主義がおかしい」という話をすると、「今の学生は甘えている」と言われることが非常に多い。しかし、この議論は論点がずれている。新卒の「椅子の数」が足りないのが問題なのである。学生の質がいくら良くても椅子が足りないのである。学生の主張を「甘え」の一言で片付けず、数字を見たうえで冷静に議論してほしいと切に願う。
 この言いたいことを言えない生きづらい社会、もはや自己責任ではどうにもならない。どうにかしろ! 学生は学生らしく生きさせろ! そう叫びたい。

『労働情報』(2010/12/15 805号【たたかいの現場から】)
http://www.rodojoho.org/tatakai805.html


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