2011/12/10

「東京・教育の自由裁判をすすめる会」共同代表からのアピール  X日の丸・君が代関連ニュース
 =「東京・教育の自由裁判をすすめる会」共同代表からのアピール=
★ 最高裁は司法の良心を示し、
教育への政治・行政の介入に
歯止めをかける判決をだすよう望みます
2011年12月7日

 今、3.11東日本大震災と放射能汚染のもとで、国民の間に不安や不満、焦燥感が増しています。こうした事態を背景にして、地方自治体が民主主義に反する方向へと変質させられていく動向がうかがわれます。たとえば、「地域主権」の名の下に、様々な福祉制度の改悪や教育への政治介入が堂々と行われていく地方自治体も現れています。
 大阪府議会で過半数を制した橋下前知事率いる「大阪維新の会」は、6月に「君が代」起立強制条例を強行成立させました。さらに、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙に勝利したことに勢いづき、早期に「教育基本条例案」「職員基本条例案」を成立させ、教育への政治介入を宣言して、府政と市政に独裁体制を築こうとしています。
 突出したように見える大阪の動きですが、このような方向での施策は、石原都政下ではおよそ10年にもわたって「国旗・国歌」の強制を中心に進行してきました。


 2003年10月、石原都知事のもとで東京都教育委員会が入学式・卒業式などで「日の丸・君が代」を強制する通達(10.23通達)を出して以来、東京都の公立学校は異常な状況が続いています。校長は教職員一人一人に「職務命令書」を渡し、式の当日には都教委が各学校に職員を派遣し、通達通りに式を実施しているかどうかの監視を続けています。「命令」に従わなかったとして教職員が次々と処分され、その数は、2011年5月までに437名に上りました。退職後の再雇用を拒否された教職員も60名を超えています
 そして、このような強制は教職員にとどまらず、国歌斉唱時に起立しなかった生徒が多かった学校の管理職・教職員への「調査」と「厳重注意」、保護者・来賓の「不起立状況チェック」へと拡がっています。
 また、2007年から卒業式等の進行表に、「生徒不起立の場合、起立を促す」「立っまで始めない」などと、多くの学校が記載するようになりました。
 言うまでもなく「命令と強制」「服従」は、教育にはまったくなじまないものです。

 しかし、2011年5月30日から7月にいたる一連の最高裁判決では、「日の丸・君が代」強制について、もっぱら校長の職務命令が、教職員の「思想良心の自由」(憲法19条)を侵害するかどうかという枠組みでのみ判断して「合憲」としました。
 そして、東京都教育委員会による260校にものぼるすべての都立学校への一律の通達の発出と、すべての校長が全教職員へ職務命令を出さざるを得なかった事実、監視によってあぶり出された「違反者」への懲戒処分という、東京都教育委員会による一連の強権的介入については、何の判断も示しませんでした
 また、教師への強制が生徒への強制に通じていること、その形成過程にある生徒の思想信条を将来的に枠づける問題についても、一連の最高裁判決は何の判断も示していません。
 東京都教育委員会の介入が新教育基本法の下でも「不当な支配」に当たると言わざるを得ないにもかかわらず、一連の判決は、結果としてこれを追認してしまっており、まさに不当な判決と言わざるを得ません。

 それでも、最高裁判決は、起立斉唱行為が国旗・国歌への「敬意の表明の要素を含む行為」であることを認めました。すなわち、起立斉唱の強制は、最高裁判決によっても、国旗・国歌への敬意の表明の強制であって、生徒と保護者等の思想良心の自由を侵害する行為であるのです。
 したがって、子どもたちに思想良心の自由を教え、子どもたちの思想良心を守るべき教師たちは、命令で自らの思想良心をまげるような教師であってはならず、教育者としての主体的人格を貫く自由が認められなければなりません
 学校では、自由闊達な議論を保障し、生徒と教師の主体的な人格的触れ合いを通して、子どもたちの成長をはかる必要があります。上からの命令にただ服従することからは、生徒が潜在的に持っている能力を引き出すことはできません。国際的にも共通認識になっているところですが、生徒が相互に学び合い助け合うような自由な教育環境こそが子どもたちの力を伸ばしていくのです。

 今こそ、最高裁が、とどまることのない教育行政の暴走にストップをかけ、人権保障の最後の砦として、国際的にも恥じない判決を出すことを望みます。最高裁は、教育への政治介入に歯止めをかけ、司法の良心を示すよう望みます。

<共同代表>
 市川須美子(獨協大学、日本教育法学会会長)
 大田 尭(東京大学名誉教授)          
 尾山 宏(東京・教育の自由裁判弁護団長)    
 小森陽一(東京大学大学院教授)         
 斎藤貴男(ジャーナリスト)           
 醍醐 聰(東京大学名誉教授)          
 俵 義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)
 暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)          
 野田正彰(関西学院大学教授)          
 堀尾輝久(東京大学名誉教授)          


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