2012/1/30

富裕層、急速に拡大人口1%に資産集中  ]U格差社会
 『東京新聞』<集めて分ける 社会保障と税・格差編>
 ◇ 富裕層、急速に拡大


 政府の「社会保障と税の一体改革」をめぐる議論は、消費税増税ばかりが先行し、富裕層と貧困層との格差を縮める「所得の再配分」という視点が置き去りにされている感がある。景気が低迷する日本社会で、急速に存在感を増している富裕層とは、どのような人たちなのか−。 (伊東治子、宮本直子)
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 ◆ 人口1%に資産集中
 YUCASEE(ゆかし)が目指すもの。それは「富裕層をもっと豊かにする場所」
 インターネット上に躍る文字。ゆかしは二〇〇六年十一月、富裕層向けに開設された、「ミクシィ」のような会員制のコミュニティーサイトだ。会員はここで、主に資産運用や不動産、相続、子どもの教育などについて情報を交換している。
 土地や建物を除き、預貯金や株式などの純金融資産一億円以上、が入会の条件。ゆかしを運営する「アブラハム・グループ・ホールディングス」(東京都)によると、会員は主に会社経営者・役員、開業医およびその家族などで、三十代と四十代で六割を占める


 会員数は非公開だが、会員の純金融資産総額は昨年十月現在、約一兆二千億円。純金融資産が一億〜五億円の会員が全体の85%を占めるが、十億円以上の会員も4%いる。
 入会の動機について、会員の五割が「同レベルの資産状況の方と、安心していろいろな相談や情報交換がしたい」、四割が「マスコミとは異なる、選ばれた人だけの口コミネットワークに興味がある」と答えている。
 同社は、ゆかしの意義を「人口の1%の富裕層が、国全体の個人金融資産の2割を持っている。富裕層の消費や投資が活発になることで、日本の経済全体が活性化する」と強調した。

     ◇

 貧富の差がない「結果の平等」から、自由競争に基づく「公正な格差」へ−
 財界主導の構造改革の流れの中、国は税制面でベンチャー企業を支援する制度など、富裕層が生まれやすい環境を整えてきた。

 東京都心の六本木ヒルズから歩いて数分のワンルームマンション。ここを事務所にIT関連会社を経営する篠原一貴さん(26)は、年収二千四百万円を稼ぐ。
 高校卒業後、アルバイトをしながらサーフィンなどに明け暮れた。ある時、図書館で見つけた啓発本に興味を抱いた。著者が主宰する起業塾で学び、二十二歳で会社を設立。結婚式の余興やプロポーズで成功する方法など、誰かを喜ばせるアイデア集をインターネット上で販売し、ヒットした。
 会社設立の前年の二〇〇六年、新会社法が施行され、株式会社の場合一千万円、有限会社で三百万円を必要とする従来の資本金制度が撤廃された。株式会社は一円から設立できるようになり、会社設立の元手は、ほとんどかからなかったという。事務所も机とパソコン、ファクスだけだ。
 富裕層への階段を駆け上がろうとしている篠原さん。「自分が実例になって、年下の人たちに、『頑張ればこのぐらい稼げるんだ』と勇気を持ってもらえればうれしい」と話した。

 ◆ 欧米並み役員報酬が浸透
 富裕層の増加は、国税庁のデータからも裏付けられる。
 税務署に確定申告し、納税した人の中で、会社などからの給与所得が五千万円以上あった人は、一九九九年には八千七十人。それが、二〇〇九年は二万七千三百十五人。十年間で3.4倍に増えた。<グラフ1>
 一方で、会社員の平均給与(年間)は〇〇年に四百六十一万円だったのが、一〇年には四百十二万円に落ち込んでいる。<グラフ2>
 こうした格差が生じた背景について、元国税局職員でフリーライターの大村大次郎さんは「昔は社長と一般社員の給与の差が大きいことを是としない雰囲気があったが、今は違う。欧米企業のように、役員が多くの報酬を得ることを許す土壌ができた」と話す。

『東京新聞』(2012年1月26日【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2012012602000059.html


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