2005/12/21

九段中『ノ大統領への手紙』事件、米紙に掲載  \増田の部屋
10月26日外国人特派員協会で行われた増田都子先生の記者会見が、米国でも大きく取り上げられていた。国内で考えている以上に大きな「国際問題」として扱われている。TKP国際部の仮訳によりご紹介しよう。

<05年11月22日付米国『クリスチャン サイエンス モニター』記事>

   「東京の教師、戦争の歴史について、論陣を張る」

東京都議会議員が「朝鮮への侵略はなかった」と言ったことに対し、この教師は、異議を唱えている。(ロバート・マルク アンド「クリスチャン サイエンス モニターのスタッフ」)

 増田都子は、公立学校で23年(※1)教職に就いているベテランである。彼女は、多くの同年代の日本の歴史の教師と同じように「第2次世界大戦の犠牲者としての日本」という立場から書かれた新しい教科書が嫌いである。
 彼女は、開戦の原因をアメリカだと主張する教科書が都立6年制中学で今回採択されたことに心を乱されている。増田は、東京の公立学校の全ての民族主義的な方向を否定する。
 しかし、去年まで、自分自身を、「ごく普通」と呼ぶ増田は、滅多に、自分の独自の方法で異議を唱えることはしなかった。ほとんどの教師は、しないことだが。
 だが、公の会議で、ある都議会議員が、日本は朝鮮を侵略したことはなかったと述べた時、彼女の歴史のクラスで、ノ・ムヒョン大統領に対して、謝罪(※2)の意を表す手紙を送った。その行為が、彼女が教室から引き離されるという結果を引き起こす事になるのだが。

 アジアにおける戦争に関する論議は、いまやもっとも重要かつ核心の問題になっているので、この12月のノ・ムヒョン大統領の訪日拒否の理由として、韓国が引き合いに出したほどである。外交的な争点からいうと、この増田の件は、日本の首都である東京の日常生活の細目にどのように、民族主義的な政策が忍び込んでいるかということを示している。

 彼女のその社会のクラスは、ノ・ムヒョン大統領に、謝罪(※2)の手紙を書き、東京の韓国大使館に送った。その表書で、増田は「古賀俊昭議員の発言は、客観的な歴史水準からみると、恥ずべきものである。悲しい事に、この国の首都東京の議会では、こういう人達が、意気揚々として、存在することができる」と書いた。
 このクラスは、韓国大使から返事を受けることはなかった。しかし、増田は、東京都教育委員会(都教委)から、返事を受けた。彼女のノ・ムヒョン大統領への手紙は、靖国神社支持団体に見つけられ、東京都にクレームを付けられたのだった。古賀都議が公の場で、(上記のようなことを)話す一方で、増田に対しては、手紙に彼の名前を繰り返したことが、不適当で、それは公務員法に違反することであると言われた。

 増田は、今、公務員の規則を研修するという名目で、小さな部屋で一日過ごす事を強いられている。(それは、彼女は「大きな屈辱である」と言っている。)彼女は、そのことに対しても、裁判で闘おうとしている。
 増田のこの経験は、日本の民族主義者の力が、東京において、増長していること、そして、その影響が草の根のようにはびこっていることを示している、とある分析者は言う。
 例えば、「超民族主義者」の支持を受けている安倍普三は、現在の指導者小泉純一郎が来年9月に退任する後、彼を継承する地位にいる。
 安倍は、巨大人口を持つ東京の都知事石原のように、過去の歴史を書き換えることによって、誇り高い日本の回復を求める「つくる会」教科書の支持者である。
 石原は、彼の立場で、直接に、都教育委員の6人のメンバーを任命した。東京都の学校においては、1930年代のように、子どもたちに、天皇や靖国神社参拝を支持する教育委員や日本の中国・朝鮮侵略に言及しないカリキュラムに忠誠を誓わせる、という考えが反映している。

 増田は、彼女の意見として「何があっても、生徒に嘘を教えることは悪いことだ」と主張している。真実を言うことが、自分の仕事であり、自分が生きていることだと感じている。
 自分が、好まない何かが、忍び寄っていると感じられる時、私は、それをはっきりしたいと思っている。もし、あなたが、そうしたいなら、きっと、それは、誰かにとって、よいことになるでしょう、とも。
 私は、過去の事を、説明し、教えている。しかし、私は、今、それをする歴史教師の仕事を停止させられている。彼らは、管理的な研修をしていると言うのだが。

 インタビューにおいて、増田は東京都議会メンバーの公的文書の言葉を読み上げた。それは、日本の侵略戦争という捉え方を不適切であるというものである。
┌──────────────────────────────────┐
│ 「日本は、かつて世界のいつ、どこで侵略をしたというのか? 私は、もう一度  │
│尋ねたい。いつ、どこで、どの国へーーーー。」                   │
└──────────────────────────────────┘
 先週、韓国で行われたAPECサミットで、小泉首相とノ・ムヒョン大統領は、個別に会談したかどうかもはっきりしなかった。
 韓国大統領(ノ・ムヒョン氏)は、小泉首相に、靖国神社参拝と「つくる会」教科書に擁護的であることに対して、はっきりした見解を出すように迫った。
 小泉首相は、戦争犯罪人の遺骨がある靖国神社への参拝について説明しようと試みた。それによると、「靖国神社参拝は、再び戦争をしないという理念を表したものである」という。朝日新聞によると、それに対し、ノ・ムヒョン大統領は「あなたの感情をどんなに肯定的に説明しても、韓国の国民は、決して受け入れないだろう」と言った。

 増田は、現在の試練の最初は、幾人かの仲間の教師が支援してくれたと言った。しかし、その後、やめてしまった。彼らは、学校での自分の地位を失うことを恐れている。
 今、増田は、彼女の言い方をすれば、カフカの作品の中で使われる言葉のような場所、東京都教職員研修センターに、レポートを出さなくてはならない。
 増田は、少し頑固で、少し左派のようだが、世界中の中学教師の教育方法の詳細に精通しているように見える。話題が教育になると、彼女は、すぐさま、輝きを増した。彼女のクラスは、日本の公教育の現場では、ほとんどないクラスである事を誇りに思っている。彼女は、「紙上討論」という実践の場で、生徒が「独自の」結論に到達していく方法を彼ら自身に求めている。「紙上討論」では、広島やイラクというような話題を取り上げている。

 昨年は、テレビのドキュメンタリー番組を見せた。それは、韓国の従軍慰安婦の問題を日本のテレビが取り上げたものである。これは、どのように、日本の政府が中国で、売春宿を建て、どのようにアジアの全てから女性を無理矢理、そこで働かせるようにしたか、という内容である。
 戦争時の侵略についての日本の責任ということを教えたために、圧力を加えられている教師たちは、現在、東京において、過去の時代にマルキストがされたように、ますます強くタガをはめられてきている。

 増田の件は、東京の報道機関によって、単なる「中傷」の問題として取り上げられている。その例として、ある経験豊かなジャーナリストは「東京の朝日新聞(※3)は、増田が政府や教科書出版会社を中傷した理由で、職務停止されているという取り上げ方をした」と指摘している。
 朝日新聞の記者は、東京都教育委員会の取材源から、その話を書いた。
 増田の友達や仲間の教師たちは、その朝日新聞(※3)の記者に、増田に取材して、バランスを取るべきだった、と抗議した。
 それに対して、朝日新聞(※3)の記者は「この記事は正しいか」東京都教育委員会に、再び問い直した。「都教委は『それでいい』と言ったから、この話は、正しい記事だった」と答えた。

(註)
(※1)23年(a 23-year)となっているが、33年の間違いです。
(※2)apology には、お詫び・謝罪の意味の他に、弁明という意味もあります。この文脈からすると、この記者は、謝罪という意を強く持っている様な気がするので、謝罪としました。
(※3)朝日新聞ではなく、読売新聞の間違いです。


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