2005/12/30

貧乏人は子どもを生むな!?  
東京新聞(12/29朝刊)で、少子化問題の特集をやっていた。

この種の記事は、憂い顔で嘆いてみせるだけで、分かり切った対策にあえて目をつぶる傾向があるが、海外の具体例の紹介も含めて読み応えのある記事になっている。
その一部を紹介する。ネットで読めるのは「猪口邦子・少子化担当相に聞く」の記事。「海外の例」の方は、本誌の方で見てもらうしかない。

分かりきった原因とは、
@女性の労働条件の劣悪化(97年の「労基法改悪」による悪平等化、相変わらず「男女雇用機会均等法」で経営者に配慮して罰則規定を設けていないこと)
A弱者切り捨ての不公正な労働政策(正社員減量、サービス残業=賃金不払い労働蔓延、派遣・パート・フリーターによる不安定労働、労働組合敵視による歯止めの欠如)
Bそれらの結果として特に若年層で、普通に家庭を営む環境が壊れてしまっている。(時間がない、お金がない、休みが取れない、保育所に空きがない)
と考える。
要するに「貧乏人は子どもを生むな」という出産・育児政策の下で、貧乏人を多数輩出する「格差社会」推進の労働政策をやっているわけだから、これでは少子化が止まるわけがない。



猪口邦子・少子化担当相に聞く

 日本人の出生数は死亡数を約一万人下回り、初の自然減に。二十二日、厚生労働省がまとめた人口動態統計の二〇〇五年推計は、日本がいよいよ人口減社会に突入したことを印象づけた。背景にあるのは、歯止めのかからない少子化。現状をどう打開していくのか。初の専任閣僚として奔走する猪口邦子少子化担当相に聞いた。 (岩岡 千景)

 ――少子化対策は待ったなしの状況です。

 少子化の背景にある問題の一つは、育児にかかる家計負担です。世帯主が三十代で年収が四百万円未満の家庭が32%に上るなど、若い子育て世帯は経済的に苦境にある。先日発表した「少子化社会白書」では、具体的なデータから「経済的支援」が少子化対策の重要な柱であることを示した。
 一方で、出生率を好転させた海外の事例を紹介し、仕事と家庭を両立させるための支援の必要性も指摘しました。

(略)

 ――「経済支援」と「徹底した両立支援」が二本柱だと、大臣就任直後から言っていますね。

 両立支援策は幅広く、これまでの「待機児童ゼロ作戦」や「ファミリーサポートセンターの充実」も引き続き推進していく。さらに、「認識の改革」が必要な部分もある。例えば、男性も含めた働き方の見直しです。
 仕事と家庭を両立させるには、男性も含めて育児休業を取りやすい職場環境が重要です。また職場復帰した後には、「短時間労働」や「柔軟な働き方が可能な職場運営」が必要です。
 乳幼児を抱えた親が育児休業明けに一日十二時間働かされる、なんてことが普通であってはならないと思うんです。

 ――けれども、まだまだ職場優先。子どもが病気でも休みにくい。

 自分の手元で子どもを育てたい。ましてや熱を出したときに自分が看護してやりたい。それは親の普遍的な気持ち。だけど、そうすると退職に追い込まれる社会的状況がある。
 子どもが病気のときに一時的にでも医療関係者のいる施設に子どもを預けられ、職場も勤務を調整してくれるとなれば、親は働き続けられる。「病児保育」の整備とともに、ここでも「柔軟な働き方」などの施策が必要になるわけです。

 ――そこで欠かせないのは、経営者の意識改革です。

 同時に自治体が推進力を持つことで、地域の経営者への働きかけも可能になる。国や地方、民間が全員で連携して取り組まなければ、子育てに携わる人たちの間で「時代はよくなった」という実感にはつながらない。当事者の目線で、継ぎ目のない両立支援策を推進したい。

(略)

 ――ご自身は親やきょうだいをフル動員して仕事と子育てをやりくりしてきたそうですね。

 私もそうだし、今までは多くの人が家族や近所の人の手を借りてやってきたが、もはやそれを社会化しなくてはならない。子どもを産み育てるのは、個人と夫婦に多大な責任と苦労、労力のかかること。親にしか背負えない部分はあるけれど、背負える部分は社会が背負う。
 子どもは親の宝であると同時に社会や国の宝。大事な存在なんです。今、多くの人に伝えたいのは「みんなで一緒に育てましょう」というメッセージです。


 下のグラフは、1970年から2000年までの先進24カ国の女性労働力率と出生率との相関をみた調査結果の一部だ。
 女性労働力率とは、15歳から64歳までの女性人口全体に占める就労者の割合で「女性がどれだけ働いているか」を知る指標。
 また合計特殊出生率は、1人の女性が生涯に産む子どもの平均人数だ。
 この30年間で、女性労働力率は24カ国平均で23.3ポイント増加。中でも男性の片働き社会だったノルウェーが76%を超え、アメリカやオランダも伸びている。
 もともと女性労働力率が高かった日本は伸び悩み、2000年に59.6%。わずか5.2%増の上昇幅は24カ国中、最も小さい。
 一方、出生率は、ノルウェー、アメリカ、オランダで70年以降、女性労働力率の伸びに伴い急低下したものの、80年代半ばに回復に転じている。
 日本は下降線をたどり、現在1.29と最低を更新中。日本には「女性が働くから子どもが産めない」という考えが根強くあるが、実は女性の社会進出が進まない一方で、少子化が進んでいるのである。同様にイタリアや韓国も似た曲線を描いている。
 ノルウェーなどが女性の社会進出が進む一方で、出生率の低下に歯止めをかけたのは、働き方の見直しや保育所整備、男1生の家事・育児参加など、女性が働くことと子どもを産み育てることを両立し得る環境を整えてきた成果といえる。
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海外に「政策で少子化克服」の例
【出生率を回復させた国の児童・家庭政策】
▼スウェーデン
・子どもが1歳6ヵ月になるまで、または8歳になるまでのうち、両親合わせて最長480日間の休業が可能。最初の390日間は従前賃金の80%給付、残りの90日間は定額給付。(日本の育児休業中の賃金保障は25%!)
・パパクオータ・ママクオータ制(配偶者に譲ることができない休業日数)がそれぞれ60日間。休業中の代替要員として臨時契約社員を雇う事業所は74.4%
・1-5歳児の82%が保育サービス利用。待機児童はほとんど解消
・児童手当は所得制限なしで月額・第2子まで約1万4000円、第3子は約1万8000円。以降、子どもが増えるにつれ増額される
▼ノルウェー
・男性に育児休業取得を促すパパクオータ制あり。最長3年間の育児休業期間のうち、1歳になるまでに父親に4週間の育休取得が割り当てられている
▼イギリス
・母親が産前産後も含め52週間休業できるほか、5歳になるまでに両親合わせて13週間の休業を取得できる
・2000年から「仕事と生活の調和キャンペーン」開始。両立策導入を検討する企業に無料経営コンサルティングを提供するなどの施策で調和を推進
▼フランス
・子どもが3歳になるまでの間に最長3年間の育児休業が可能
・2000年に「週35時間労働法」を施行し労働時間の短縮を実現、ワーク・ライフ・バランスが進む。(日本は40時間労働制すら空文化している)
・認定保育ママ制度が充実。保育需要の約7割を担う
・一般世帯を対象にした家族給付が児童手当を含め30種あり、経済支援の水準が高い

 合計特殊出生率が93年に1.66に落ち込んだフランスは、出生率を回復させるために、経済支援、両立支援の多角的な施策を展開。出生率を上昇に転じさせ、2003年に1.89まで回復している。海外の事例は「少子化は政策で克服できる」という現実を伝えている



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