2013/2/9

あべこべな安倍総理  ]平和
  『東京新聞』【本音のコラム】
 ◆ 感じない政治家
鎌田 慧(ルポライター)

 人間、立場が違えば考え方が違う、とは一応理解しているつもりだけど、現実にたちあらわれている具体的な光景でさえ、まったく目に入らないひとがいる。
 衆院本会議での答弁で、安倍晋三首相は野田前政権の「二〇三〇年代原発ゼロ」方針について、「具体的な根拠を伴わないもの」と切り捨てた。「ゼロ方針をゼロにする」という。事故前の原発政策にもどすという宣言だ。
 大爆発して天文学的な数量の放射能を、自然界にまき散らした四基の原発の、幽鬼城のような不気味な映像が、脱原発の具体的な根拠なのだが、安倍さんには故郷を喪失した十数万の住民の怨嵯の声も聞こえないようだ。ものの見方も考え方も、アベコベなのだ。


 安倍さんは、野田政権の「原発ゼロ」方針を、「国民に不安や不信を与えた」と批判したが、「国民に不安と不信を与えた」のは、安倍さんがこれから進めようとしている原発政策でしょう。
 わたしには、どうして、このような逆立ちした認識ができるのか、それも最高議決機関の国会で、堂々と開陳できるのか、不思議でしょうがない。
 ひとの住めなくなった「美しい日本」の広大な大地と森や林、ひとびとの生活、そして原発の未来について、国会で真剣に議論してほしい。現実を知らないのは、政治家、として恥ずかしいことのはずだ。

『東京新聞』(2013/2/5【本音のコラム】)


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