2013/2/28

本当に賃上げを実現する確実な方法は、最低賃金を引き上げること  
 ▲ 賃上げの方法
山口二郎(北海道大教授〉

 安倍晋三首相が経済界の首脳に、賃金引き上げを要請したことが話題になっている。連合を民主党から引き離すための深謀遠慮があるとも言われている。
 首相が経営者に要請したくらいで賃金が上がるなら、苦労はない。まさか労働界の幹部はこんな見え透いた演技にだまされるはずはないと思うが。
 首相が本当に賃上げを実現したいと思うなら、確実な方法がある。それは最低賃金を引き上げることである。これは政治で決定できることである。
 所得の低い層ほど消費性向は高いので、経済界の首脳が経営する大企業で賃上げをするよりも最低賃金を上げる方が消費の拡大に直結する


 生活保護基準が最低賃金よりも高いのはおかしいという議論もあるが、話は逆である。
 最低賃金を生活保護基準まで上げることが必要だ。
 企業は反対するだろうが、賃上げによるコスト増を価格に転嫁すれば、デフレ脱却にもつながる。英国では最低賃金制度の導入が経済活性化に役立ったという研究もある。

 ルールなき競争の結果、労働の世界でも価格破壊が進み、ワーキングプアが発生した。
 人間らしい労働を守るためには、最後はわれわれすべてが労働に対する正当な対価を払うという覚悟を決める必要がある。
 普通に週四十時間働いたら生活ができるような社会を取り戻すことが必要である。

『東京新聞』(2013/2/24【本音のコラム】)


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