2013/4/8

都立高出身の山口香さんへ 先生は社会の敵ですか?  X日の丸・君が代関連ニュース
  《澤藤統一郎の「憲法日記」》
 ● 拝啓 山口香 様


 山口さん、東京都は元柔道選手のあなたを教育委員に起用する方針を固めたとのこと。瀬古利彦さんの後任で、議会が同意すれば4月1日付で就任するという。2020年東京オリンピック招致に向けての人事だとか。
 山口さん、あなたには期待が大きい。オリンピック招致のことではない。
 都内公立校での「日の丸・君が代」強制をやめていただきたい。少なくとも、一石を投じていただきたい。
 あなたは、暴力体質にまみれた柔道界にあって、監督の暴力に抗議の声をあげた現役女子選手15人の側に立つことを躊躇しなかった。いじめる側ではなく、いじめられる側に寄り添うあなたの姿勢がすがすがしい。その意気や、おおいによし。そのすがすがしい意気を、都教委という職責において貫いていただきたい。


 都内の公立校では、別の形の暴力・イジメが蔓延している。都教委が、教員をいじめているのだ。卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制である。
 教員の中には、「日の丸・君が代」大好き人間もいるだろう。しかし、自らの思想にかけて、あるいは教員としての良心を大切にするが故に、どうしても「日の丸・君が代」に敬意を表明することはできないという教員も少なくない。人間として、教員として、真面目にものを考える人にとってこだわらざるを得ない問題となっていることを理解していただきたい。

 あなたは、スホーツ界で過ごしてきたその半生において、「日の丸・君が代」にまつわる問題を真剣に考えたことがあるだろうか。スポーツイベントや学校スポーツが、ナショナリズムの昂揚や国家主義に利用されていると考えたことはないだろうか。
 旧天皇制のもとで国家のシンボルとなった日の丸や君が代が、日本国憲法下の現在もなお、国旗国歌となっていることを奇妙と考えたことはないだろうか。少なくとも、「日の丸・君が代」の強制には服しがたいと考えている人の心情を理解しようとしたことがあるだろうか。

 スポーツ会場は、理性ではなく激情が支配する空間だ。そこで日の丸を打ち振る人々の、他者に対する同調行動要求の圧力は凄まじい。同じことが学校現場に起きている。
 しかも学校現場では、社会的な同調要求圧力だけではなく、職務命令という公権力の発動までがなされている。

 あなたは、日の丸を打ち振る観衆の声援を心地よいものと感じていたかも知れない。
 しかし、教育委員として公権力の担い手となるからには、社会的同調圧力の危険と公権力行使の限界を弁えてもらわねばならない。「日の丸・君が代」への敬意の表明の強制、つまりは懲戒処分の恫喝のもとに起立・斉唱・伴奏を命じてはならないのだ。

 柔道とは、技も練習方法も個性を磨くためのものではないのだろうか。一人ひとりが、全体に飲み込まれない個人としての強さを目指すものではないのか。
 自らの信念を大切にして起立・斉唱はできないとする教員を、嵩にかかっていじめてはならない。そのようなことを卑劣な振る舞いとする感性を、あなたには期待したい。
 もしその期待に応えていただけるなら、日本の教育史の1ページにあなたの名が残ることになる。それに比べれば東京オリンピック招致の成否など、まことに小さな問題でしかない。

『澤藤統一郎「憲法日記」』(2013/3/25)
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/sawafuji/index.cgi
http://article9.jp/wordpress/


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