2013/5/12

ネット選挙解禁で、出来ること出来ないこと  ]平和
  =公選法改正 ネット選挙解禁=
 ◆ 情報の共有で大きなうねりを

レイバーネット日本 安田幸弘(ジャーナリスト)

 公職選挙法が改正され、この夏の参議院選挙からインターネットを使った選挙運動、いわゆる「ネット選挙」が解禁される
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 これまではネット上の情報も「文書図画」とみなされ、証紙や数量などの厳しい制限がある従来の公選法では選挙期間中に新しい情報をネットに掲載したり情報を更新することができなかった。
 しかしネットは今や新聞やテレビに並ぶ普通のメディアだ。ネット選挙にはさまざまな問題も憂慮されているが、米国をはじめとする海外ではすでにネット選挙が行われており、とくに目立った問題も起きていないことから今回の改正に至った。

 ◆ 自由に選挙運動に参加
 改正公選法の詳細は条文を参照していただきたいが、今回の改正でネット選挙に関する入きな変更点は、まず一般の有権者が自分のウェブサイト、プロク、SNS(Social Network Service)などを通じ、不特定多数への選挙運動ができるようになったことだ。

 前回の米国大統領選挙でオバマ候補がSNSを巧みに使ったことが勝利につながったといわれている。SNSにはいわば「世論の増幅作用」がある。
 こうした特性により、現在ではSNSは企業のマーケティング戦略にも重要なツールとして組み込まれている。選挙では、SNSによる情報共有やフォローといった機能を利用し、支持者の中で大きなうねりを作り出すことができれば有利に選挙戦を展開することができるだろう。

 なおメールや携帯メール(SMS=Short Message Service)の使用は法案審議の過程で議論になった点だ。
 結局与党案が通り、一般有権者のメール、SMSの使用は禁じられたが、候補者や政党には選挙用メールであることの表示や送信者のメールアドレス表示などの条件を満たせばメールやSMSによる選挙運動が認められることになった。
 また、やはり議論があったネット広告は、政党のサイトにつながるリンクを有料で利用することが政党に認められる。

 インターネットという強力な情報ツールが選挙で解禁されることにより、候補者や政党は、これまでなかなか情報を届けられなかった有権者に情報を提供することができ、有権者側は豊富な情報を詳しく比較できるなど、メリットは大きい。

 ◆ 未知の不正の可能性も
 もちろんネット選挙に問題がないわけではない。
 たとえばネット選挙は費用がかからないといわれるが、今頃、政党や候補著の事務所には高額なメニューが並ぶ資料を持ったIT企業の営業マンやコンサルタントが殺到していることだろう。

 また、候補者や政党を詐称する「なりすまし」と呼ばれる不正や、誹諺・中傷の書き込みへの対応、大量のメールによる混乱、ネット選挙の詳しいルールの誤解や無理解による候補者や有権者の違反、コンピュータ・ウィルスなどを使った妨害やハッキングなど、これまで経験しなかった種類の問題や不正が発生する可能性もある。

 たとえば韓国では昨年の大統領選挙で、情報機関が与党側候補に有利なように世論を誘導するためにネットを使って巧妙に選挙に介入していたことがわかり、大きな問題になっている。情報機関内部からの情報提供がなければ、情報機関による不正な選挙介入はネットの匿名性の中で闇に葬られていただろう。

 韓国の事例は極端かもしれないが、ネット選挙では従来より匿名性が高いため組織ぐるみの違反を摘発するのは難しいだろう。同時に、摘発のための無理な取り締まりやプロバイダーに対する情報開示の要求などが行われる可能性も無視できない。
 初めてのネット選挙では、ある程度の混乱はあるかもしれない。しかしこれも時代の流れ、大きく後退することはないだろう。候補者も有権者も、積極的なネットの活用を考えていくべきだろう。

『週刊新社会』(2013/5/14)


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