2013/5/13

原発都民投票条例案を巡る都議会の迷走  ]平和
  第18期都議会を振り返る<8>執高議低
 ■ 党議拘束に疑問の声も


 「自分たちに危険が及ばない安全地帯で、自分たちが話したいことだけ話している東京都議会はロンパールーム。これから本当の都議会にしていきたい」
 約32万筆の署名を集めて直接請求された東京電力管内の原発稼働の是非を問う都民投票条例案が、昨年6月の第2回定例都議会で否決された。本会議場はヤジと怒号の嵐。
 終了後に市民団体の一人が都議会を評した言葉が、「ロンパールーム」だった。そんな厳しい言葉を浴びせたのは、否決されたからではない。その否決に至る過程に不満があったからだ。

 ■ 御用機関
 与野党が逆転し、二大政党が激しい対立を繰り返した第18期都議会。しかし、対立ばかりが先鋭化したわけではない。


 例えば、青少年健全育成条例の改正案を巡っては、総務委員会で参考人質疑が行われた。築地市場移転問題では、経済港湾委員会で数多くの専門家や業界関係者が参考人として登壇している。与党議員や市場業界関係者は「不毛な議論」と批判するが、議会が築地市場の現在地再整備の具体案を検討したことは、かつての都議会にはなかったことだった。
 石原都政下で都議会は、「執高議低」の関係が続いてきた。
 百条委員会問題や新銀行東京の追加出資などを巡って、時折、そのバランスが崩れたこともあるが、基本的には行政主導型の議会運営が行われてきた。
 代表質問や一般質問、委員会質疑までも事前に当局と質問内容をすり合わせ、質疑の本番はお互いに原稿を読み合うだけのセレモニーに終わる。
 執行機関と議会は「車の両輪」と言われるが、実際には議会側が知事提案の議案を承認するだけの「御用機関」になっていた側面は否めない。
 都民にとっても都政は身近なものではなく、関心が薄い。本会議場の傍聴席は、都民投票条例案のような多くの市民が関わった案件がなければ、閑散としている。委員会に至っては、傍聴者ゼロで議員と理事者が淡々と原稿を読み合うだけという場面もある。
 こうした空虚なセレモニーに至るまでに、会派内でPTを設けて視察や徹底した議論を積み重ね、質問に結び付くケースも少なくないが、その過程は都民には見えない。

 原発都民投票条例案を巡っては、総務委員会に大勢の傍聴者が詰め掛けたが、委員会室に入り切れなかった。
 委員会では、請求代表人による意見陳述は行われたが、質疑では請求代表人ではなく、理事者を相手に質問が行われた。
 都民投票条例案には、民主党から修正案が出さ励たが、委員会では否決。本会議場では原案のみが採決にかけられた。
 これらの一連の議会運営は与野党が理事会で話し合った結果であったり、都議会の長い歴史の中で出来てきた慣例に基づいているものもある。
 都民にとっては、その場に立ち会って初めて知ることも多かった。

 ■ 党議拘束
 直接請求に携わった都民からは、会派の党議拘束に疑問の声が投げ掛けられている。
 民主党は、都民投票条例案の修正案には「賛成」の党議拘束を掛けたが、原案には党議拘束を掛けていない
 公明党は、総務委員会の採決前夜まで態度を決められなかった。女性議員を中心に条例案に賛成する意見があり、中には泣きながら訴える議員もいたという。
 「党議拘束にとらわれずに、民意を都政に反映すべきではないか」(代表請求者)
 都民投票条例案の修正案は総務委員会で葬られてしまったが、本会議で個人の意思のみで修正案の採決を行ったら、果たして結果はどうなっていたのだろうか
 ただ、民主党が原案採決で党議拘束を外したことには、内部からも「民主党は原案に賛成できないから修正案を出した。原案には反対すべき」と異論が聞こえる。

 その年の予算議会、豊洲新市場関連予算案の採決で大量の造反を出したことで、執行部に都民投票条例原案の党議拘束をちゅうちょさせたという見方もある。「党議拘束にとらわれない」と言えば聞こえはいいが、執行部が党の分裂を恐れて結論を避けたとも受け取れる。
 都議会は、1300万都民の民意を反映できるだけの議論が出来ているのか。
 第18期都議会は、様々な新たな試みがあった一方で、議会の在り方が問われた4年間でもあった。

『都政新報』(2013/4/27)


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