懐具合の寂しい週末、首都圏在住の鉄ヲタにとって格好の「小さな旅」を味あわせてくれるのが
武蔵野線(詳しい解説は
ここなどを見てくだされ)。
南武線の府中本町を起点に、西国分寺〜東所沢〜北朝霞〜南浦和〜南越谷〜新松戸という具合に約70km、東京都心から少し離れた郊外を扇状にぐるりと回るJR線。写真のようなごく普通の通勤電車が走る生活路線だが、都心を行く山手線や中央線にはない、独特の「倉庫裏」もしくは「体育館の裏」的な風情がある。
んで、この風情の妙が乗っていてなかなか「旅心」をくすぐる良い味を出してくれるのですよ(^-^)。以下、ぼつぼつ解説しますと――。
まず「倉庫裏」と上に書いたように、もともとはこの路線、1970年代に当時の国鉄がもっぱら貨物列車の運行用に建設した路線だった。
当時、東京都心の路線が通勤輸送で手一杯になってしまったため、貨物列車については郊外に迂回させようという発想から生まれたのだ。
その頃はまだ東京の郊外も未だのどかでそれほど開発も進んでおらず、用地に余裕があるのを生かして貨物線を作り、その沿線に設けた貨物用ターミナルからトラックで周辺へと荷物を継走するシステムが採られたのだ。
だから現在でも、途中の新座や越谷あたりにはコンテナがずらりと並ぶ大規模な貨物ターミナルが線路脇にひらけている。
軽快なステンレスの通勤電車が発着する合間に、無骨な電気機関車の貨物列車が、ホームで電車を待つ乗客たちの目の前を殺風景に駆け抜けていくのも、都心ではあまり見られない光景だ。
もっとも、現在の武蔵野線は本来の貨物輸送よりも、むしろ通勤客を含めた旅客輸送のほうが表向き目立つ路線になってしまった。何しろ日中でも10〜12分おきに8両編成の電車が行き来し、貨物列車のほうが逆にその合間を縫って走っているような印象すら覚えるほどだ。
ある意味、それも無理ないなと思える。なぜならこの路線、都心から放射状に郊外へと延びていくJRや私鉄の主要幹線を、まるで扇のように繋ぎとめるルートで走っているからだ。
西側から順に挙げると、南武線・中央線・西武池袋線・東武東上線・埼京線・京浜東北線・埼玉高速線・東武伊勢崎線・つくばエキスプレス・常磐線・新京成線・北総線・総武線、東京メトロ東西線、東葉高速鉄道線――なんとその数、15路線だ。
また、武蔵野線自体も西船橋からさらに先、京葉線に乗り入れて幕張の新都心や東京ディズニーランドに最寄りの舞浜、さらには東京駅まで直通する。まさに東京の外環部を回る「第二の山手線」なのだ。
んで、そんな武蔵野線に乗ってて何が面白いかというと――については、ここまでで思わず前振りが長くなっちゃったので稿を改めます(苦笑)。ではまた。

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