ほんとはもう続きを書くつもりもなかったんだけど、下記をたまたま見たら「先に書いときゃよかった」って、妙に悔しくなったもんで(苦笑)。
「
毎日走るミステリートレイン――快速むさしの」(「
Business Media 誠」11月29日05時00分)
この列車には私も、少し以前に逆方向(八王子→大宮)から乗ったことがある。
八王子といえば東京都内西部に位置する中央線の駅。一方の大宮は京浜東北線の終着駅(かつ埼玉県庁所在地「さいたま」市の玄関駅)だ。
この両駅を、東京都心を迂回する形(武蔵野線経由)で結ぶ列車が一日2往復(※1)走っているなんてことは、首都圏の人でも大半は知らないだろう。
(※1=ただし片道1本は八王子でなく府中本町始発。また、休日は1往復のみ「ホリデー快速むさしの」号として走るのみ。って、細けーな←「鉄」向けの注釈にて失礼)。
武蔵野線は中央線と宇都宮線との間に広がる郊外地帯を結ぶ路線なので、直通列車がここを走ること自体は不思議ではない。ただ、なぜかこの「快速むさしの」は武蔵野線を走りながら、中央線・京浜東北線の両線との接続駅(それぞれ西国分寺・南浦和)に停まらない。それも「通過する」以前に「そこを通らない」のだ。
以前にも書いたように、武蔵野線はもともと貨物線として作られた路線だ。現在では通勤用などの旅客列車がたくさん走るようになったが、それでも今なお全国各地と首都圏を結ぶ貨物列車の経路として様々に活用されており、実のところ「武蔵野線」と言いながら貨物列車しか走っていない線路(※2)も周辺に結構あったりする。
(※2=旅客列車の西の終点:府中本町から南の鶴見あたりまで延びる通称「武蔵野南線」はその典型。この区間は延々と続く地下トンネル区間を普段もっぱら貨物列車のみが走っている。ただし休日には「ホリデー快速鎌倉」も走る)
快速「むさしの」はそうした「本来貨物しか走らない」経路を活用して走っている。だから中央線や東北線の電車に乗って都心方向へと向かっていたはずが、いつのまにか武蔵野線に乗り入れてしまったということで、時に戸惑う乗客もいるらしい。私も立川から乗り込んできたオジサンに「これ、新宿いくの?」とか聞かれた覚えがある。
車両も、首都圏では今やすっかり淘汰されたはずの旧国鉄型・115系の6両編成が今だ充当されている。JR側にも「こんなの適当に走らせとこうよ」という姿勢が伺える。
そんな列車だから、市販の時刻表では見つけるのが難しい(一応掲載されているが、臨時列車用の特集ページだ)。だから利用客も少ないかと思いきや、私が乗った時(平日夕方の八王子→大宮)には、いかにもリピーターと思しき人たちが、八王子や立川の駅ホームでこの列車を待ち構えては乗り込んできて、車内はほぼ満席になった。
おそらくこの列車、平日の朝夕に1往復ずつというダイヤ設定からして一応の需要は掴んでいるのだろう。つまり一つには多摩地域や武蔵野線沿線から大宮で新幹線に乗り継いで埼玉以北へ向かう出張客。もう一つは、逆に東北・上越新幹線沿線から武蔵野線沿線や八王子・日野あたりの工場へ出張してくる人たちか。
そんな利用客層に加えて、車両が4人向かい合わせのボックス座席もある115系ということもあってか、車内にはどこか「旅」気分が漂っているようにも感じる。乗りなれた武蔵野線の車窓も、普段とはちょっと変わって見える。
そんな「快速むさしの」だが、はたして今後の存廃はどうなるのだろう。115系自体も遠からず廃車になるのは間違いないところだし、少なくとも今の姿は、この先そんなに長く続くことはなさそうだ。

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