(以下、例によって写真がピンぼけ気味だったりしてすみません。特に今回は場所的にフラッシュが使いにくかったもので - -;)
東京などの都市部に暮らす人なら日常的に目にするのが、電車の天井周りに掲出される通称「中吊り」などの車内広告だ。スキャンダラスな見出しの躍る週刊誌の発売告知(実際これは販売部数を大きく左右する)からマンションの分譲開始、デパートのバーゲン案内、格安海外ツアーの募集、男性タレントが握り拳を作る栄養ドリンクの宣伝や、女性タレントが人差し指を立てる栄養剤(↑)の癒し系ポスター等々、内容は実に多様多彩であるわけだが、よく見るとあれも路線ごとに結構スポンサーや銘柄の傾向が分かれていたりする。
もとより、どの路線でも沿線にあるお店や遊園地とかの広告が目立つのは当たり前。西武線なら豊島園やらライオンズの公式戦案内がやはり「らしいな」という感じだし、大学生による都心から郊外への“逆ラッシュ”で知られる小田急線に乗ると、やはり大学や専門学校の広告が多いような気がする。面白いのは「東京モノレール」で、基本的に浜松町―羽田空港という限られた区間を行ったりきたりするだけの路線なのに、空路の利用客をあてこんでか、函館のホテルの広告と鹿児島の温泉の広告が車内で隣り合わせに並んでいたりするのが楽しい。
んで表題の都営地下鉄「新宿線」についてなのだが、以前からこの路線に乗るたび、なぜか車内で弁護士(または司法書士)事務所による「借金整理」相談の広告が目立つなあ……と気になっていた。なぜだろう? あるいは沿線にその方面に特化した弁護士さんや、借金を抱えた貧乏出版社さんなどが多いからなんだろうか(^_^;)。
加えて昨日の夕方、久々に
アワプラ(沿線の神保町駅が最寄)へ行く途中で乗ったついでに観察しながら思ったのは、「その一方で最近この路線ってサラ金の広告が増えてないか)」と(苦笑)。
それこそ「借金してね〜♪」という感じで女性アイドルが癒し系で迫るサラ金広告と、無粋かつ殺伐とした活字のタイポグラフィがひたすらシリアスな「借金整理」の弁護士事務所広告が隣り合わせに並ぶ都営新宿線の車内広告を眺めながら「これぞ『
呉越同舟』というべきか。それとも『
ゆりかごから墓場まで』的に親切な組み合わせなのか」などと思いを巡らせましたですよ。
同じ東京の地下鉄でも、路線網が圧倒的に充実している東京メトロ(旧「営団地下鉄」)に乗る時には、あまりこうした特徴は感じられない。まあ、メトロの広告枠は結構電通が面倒を見てるし(だから売れ残った中吊りの枠によく「電通の本」の広告が出ている)、広告営業的にも路線網の広さに加えて銀座や渋谷・原宿を通る東京メトロに対して、少ない路線が比較的地味な場所を走る都営地下鉄は苦戦しており、実際にちょっと前までは中吊り枠が空いたまま寂しく放置されているのもよく見かけた。そもそも、採算の合わない悩む都バスを抱える東京都交通局は慢性赤字体質(最近やっと地下鉄部門が開業以来初の単年度黒字に転換したんだとか)で、運賃収入以外の副業にも力をいれねばならぬ状況らしい。
ちなみに都営新宿線は京王線(新宿―八王子・高尾・多摩ニュータウン方面)と直通運転を行っているが、私(京王線も仕事柄結構利用する)の記憶する限り、京王の車両の中でサラ金や「借金整理」広告をよく見かけるという印象はない。京王線沿線は住宅地としてブランドがあり、テレビドラマのロケ地に使われることが多いほどの土地柄だけに、鉄道会社も車内広告の銘柄には気を遣っているのかな? と思ったりもする。
他方、昨今のゴタゴタでテレビや大手新聞からはなるたけ敬遠されるようになったサラ金の広告が、料金がマスメディアより格段に安く、なおかつ通勤途上のサラリーマンにダイレクトに訴求でき、しかも媒体(鉄道事業者)側が収益向上にやっきになっている都営地下鉄の車内広告にシフトした結果、「借金してね♪」と「借金の整理を!」の広告が電車の中で隣り合わせに並ぶという不条理な現象を生むことになってしまったんではないかと。
うーむ。趣味柄「鉄」ヲタと仕事柄「メディア」ネタの双方を追っていたりすると、電車に乗ってるだけでもこういうくだらないことを考えてしまうということなのか(汗)。

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