忙中閑(?)の鉄ネタです。
先週末はJRグループのダイヤ改正。東京―大阪間を戦後まもなくから60年近くに渡って走り続けてきた夜行急行「銀河」が廃止されるということで、ここしばらくは毎晩東京駅や大阪駅のホームが大騒ぎだったみたいですね。近年の「鉄ヲタ」はどうか知らんけど、古式ゆかしき「鉄道ファン」や「鉄道マニア」はこの種の「天下の東海道本線の栄光を伝える伝統の名急行が消える!」とかいうのにはとかく大騒ぎする傾向があるのだ。結構「権威主義」なんだよね彼ら(笑)。
まあしかし、今週から走り始めた小田急の「
青いロマンスカー」(
東京メトロの駅構内や中吊りでも盛んにPR中)に関西の「
おおさか東線」開通、今月下旬の「
日暮里・舎人ライナー」開業や6月の「
副都心線」開通(これも東京メトロが目下バンバンPR中)という具合に、この春から夏にかけては鉄ヲタにもマニアにもヨダレ垂らしまくり的な日々が続きそうで、まずは何より。しかし私は未だ「
鉄道博物館」にも行けてないぞ(泣)。
ところで「銀河」の廃止については新聞あたりでも結構大々的に取り上げられていたので、鉄道に関心のない方々にも結構話題として知れ渡ったのではないかと思うのだが、その中には素朴にこんな感想を持った人も多かったのではなかろうか。即ち「
JRに『急行』なんて走っとったのか?」と。
一般的に鉄道の列車というのは早い順(もしくは停車駅の少ない順)に「特急→急行→準急→普通(各駅停車)」もしくは「特急→急行→快速→普通(各駅停車)」といった呼称で呼ばれている。「特急」とはもともと「特別急行」の略称なので、本来ならば「急行」に属する列車の中でも特別な存在、といった意味合いになる。
ちなみに鉄道会社によっては「特急」の上に「快特(快速特急)」があったり(京急や名鉄)、「快速」が「急行」「準急」より早かったり(東武)、「通勤急行」や「通勤準急」とかいう訳のわかんないヤツも走っていたり(西武)、「特急」といっても単に停車駅が一番少ないだけで車両自体は通勤電車だから特急料金なしに乗れたり(阪急や阪神や京王など)という具合に実態が異なるのだが、ことJRに関しては分割民営化以前の国鉄時代から「特急」「急行」と言えば原則として「乗車券以外の別料金(特急料金or急行料金)」を払わなければ乗れない列車」の呼称として今日に至っている。
が、そうした定義づけからしても現在のJRの「急行」は極めて不条理な存在となっている。というのは――まあ、これは
Wikipediaの「急行列車」の項あたりをチェックしてもらえればすぐにわかることなのだが――「銀河」が廃止された今、
JRグループ全線を見渡しても「急行」と冠した列車は、何と1日4往復(上下各4本ずつの計8本)しか走っていないのだ(下記)。
急行「はまなす」(青森―札幌)
急行「能登」(上野―金沢)
急行「きたぐに」(大阪―新潟)
急行「つやま」(岡山―津山)
このうち「つやま」だけが昼間に走る列車で、他の3つはみな夜行列車。ただし「つやま」は同じ区間に急行料金が不要で停車駅もほとんど同じ「快速」が一日に何本も走っているし、夜行の3本もルートに並行する新幹線が数年後には開業の見込みで、車両も相当年季が入ってきているため、遠からずの廃止は確定的といえる。 つまり今やJRの「普通の急行」は絶滅危惧種と化しているのだ。
それにしても、である。一方の「特別な急行」たる特急はといえば、それこそ常磐線や中央本線や北陸本線では日中30分間隔、鹿児島本線では20分間隔という驚異的な頻度で走っているし、以前に
ここにも書いた身延線のようなローカル路線ですら今では特急が走る。もとより、新幹線も特急だから、JR全体では一日に走る特急の本数は、見当もつかないがおそらく1000本やそこらではすまないだろう。しかるに急行は上記の8本だけというのは(^_^;
大相撲では番付表から大関がいなくなった場合に、横綱が本来の名称である「横綱大関」を名乗ることがあるが、ある意味「特別急行」なんてのもそれと似たようなものかもしれない。安直な格上げをしすぎた結果としてそういう倒錯した事態に陥っているという点ではどちらも共通するわけだが、相撲の大関とは異なり、JRの急行が将来増加に転じる見込みはもはや絶無。おそらく数年後にはカテゴリーとしても自然消滅的になくなるのではないか。
しかし何でこんなことになったのか? 既に上にも書いたが、JR(国鉄)がこれまで急行をどしどし特急に格上げしてきたからだ。言うなれば「特急」がインフレ化したのである。では何故そんなに「特急」が紙幣の刷りすぎみたいに増殖し、「急行」が廃貨同然になっていったのかというと――とりあえず「忙中閑」の書き込みゆえに今宵はここまでにしとうございますということで(笑)、近々また改めて。
(つづく)

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