2008/11/9

蟹工船、はたらく若者たち、ワーキング・プア  毎日父さん

 プロレタリア作家小林多喜二の「蟹工船」がブームになっているそうです。毎日新聞10月26日朝刊の読書世論調査でも約半数の人が「蟹工船」が読まれていることに共感すると答えています。過酷な労働条件で働くワーキング・プアの若者が自らの境遇と重ねて読んでいるという解説をする人もいます。

 この話を聞いて後藤正治氏の「はたらく若者たち 1979-81」を思い出しました。ノンフィクション作家の後藤氏のデビューの作品です。1979-81年当時の働く若者たちとともに働き、取材した作品です。
港湾労働者、長距離トラックの運転手、林業者、鉄道線路工夫、炭鉱労働者、鉄鋼労働者などに加え、その当時の人気のシステムエンジニアやDJにもインタビューしています。

 そこでの労働は、過酷なものもあり、文字通り地の底で働く「地獄」や、命の危険にさらされる現場もあります。が、「とうにうしなわれた素朴な人と人のつながりを残す稀有な暮らし」があり、「遊びも好きだし仕事もやる。・・まあこれらをゴチャまぜにした“仕事人”というところ」という過酷でありながら、ある種の豊かさと誇りを感じさせます。

しかし、皆がそう思って生きているわけではなく、その時代の言葉でいえば、「シラケ」ており、「やりがい・・・いま、自分にはないですね、なんにも。」とか「べつにやりたいことなどない」「もっぱらパチンコや」と答えている若者もいます。

 この当時、私も同様な生活でした。フリーターなどいうかっこいい言葉もなく、ニートという否定的なニュアンスもなく、プータローという多少自嘲気味の言葉で語られました。その後、回り道し、一応定職につけたものの、その当時、日々の生活を送るだけで、将来はどうなるのかという思いはありました。そんな状況は私だけでなく、私の友人の何人かそんな生活を送っていました。
 もちろん、学校を卒業し、すぐ就職し、現在もその仕事についている友人もいます。

 「蟹工船」の時代との比較は実感できませんが、現在と私たちの時代の「働く若者たち」の80年代とはどこが同じで、どこが違うのでしょうか。科学的分析は偉い先生方に譲るとして、個人的な感覚では、個々人はそんなには変わらず、しかし、私たちの時代には周辺に仲間がいたこと、孤立はしていなかったこと、今は不安定でも将来は何とかなるだろうという希望があったこと、実際に長期にわたる雇用不安はありませんし、「格差社会」や「ワーキング・プア」などいわれず、「一億総中流」といわれていました。
 
 昨今のサブプライムローンを発端する世界同時不況の状況は「蟹工船」の時代の世界恐慌を思わせます。でも、歴史は必ずしも繰り返すわけではありません。
 少なくとも世界恐慌のあとの戦争の時代を決して繰りかえしてはなりません。
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